<稽古の過程>

はじめに

 道場とは仏法の修法修行の場所という意味から発生したもので武道関係者は稽古場の呼称をそのまま使いました。剣道の稽古をする場所を道場ということひとつを考えてもスポーツとは根本的に出発点が違うのです。


稽古の時間と順序
 火・木曜日は七時から八時までの一時間です。前後を三十分に分けて前半分は居合道、後半分は剣道です。土・日曜日、祭日は七時から九時までの二時間です。前後を一時間に分けて同様に行います。居合道は熟練度によって稽古方法を考慮して行います。最初、当分の間は刀の素振りです。次に納刀、これができるようなってから大森流の一本目に入ります。剣道は全員が初めに面打ち切り返し、次に面打ち体当たりを行います。その後掛り稽古を主体とした稽古に移ります。どんな体勢になっても体が崩れないことを心掛けます。個人差はありますがこれができるようになるまでが最初の段階です。稽古はそれぞれが最もやり易い方法で繰返し行います。突き、横面、鍔迫り合いからの足搦み足払いも自由です。剣道は一眼二足三胆四力といいますが眼の次に大切な足は歩み足を使います。現代剣道はこれを嫌うようですが身体の自然の移動には歩み足を否定することはできません。面打ち体当たりは打突のときに前傾姿勢にならずに身体が垂直のまま移動ができるようにするものです。当然のこと面を打った後に体当たりをし前後に移動を繰り返す中で面打ちの間合いや踏み込みを覚えるという剣道の最初の体造りと打ち間を覚える稽古です。この面打ち体当たりで剣道に対する基本的な身体ができると稽古に入ります。まず掛かり稽古です。息の続く限り大きく振りかぶり打ち込みます。身体を平行移動する中で氣剣体の一致を考えて打ち込みます。息が上がったら止めて呼吸を整えて新たに稽古をします。如何に早く呼吸を整えられるか。稽古の中で何回も繰り返します。この辺りから本格的な稽古に入ったといえます。あとは毎回これを繰り返していきます。この稽古のあい間に時々位取りをした稽古を取り入れます。ここに至るまで早い人で一年、普通には二年位かかるでしょう。あとは本人の天分と努力の積み重ねで上達の速度は変わります。